滑舌と吃音について
滑舌と吃音は、どちらも言語に関する問題ですが、その原因は大きく異なります。
滑舌改善で気をつけるべき点が、舌や口の動きであるのに対して、吃音は意識に関係しています。
吃音者に滑舌改善のトレーニングを行なっても、効果はあらわれません。
今回は滑舌と吃音の違いについて、説明していきます。
滑舌と吃音
(1)吃音とは
吃音は、どもりとも呼ばれる言語症状です。発生率は、人口の約1パーセントと言われています。「あ、あ、ありがとう」のように音を繰り返したり、言葉を伸ばす(例:「あーりがとう」)、言葉を発する前に沈黙が生じるなどが吃音の症状とされています。
対して、滑舌が悪いというのは音が聞き取りづらい・別の音になってしまう状態を指します。
なお、吃音を意識するあまりに緊張してしまい、さらに吃音症状が悪化していくことがあります。
(2)吃音の原因
吃音の原因は明確にはわかっていません。ストレスや体質、脳の作用などによって引き起こされるといわれています。
注意しておきたいのは、滑舌も吃音も、環境によって発露するものではないということです。
(3)吃音治療を受けられる施設
幼児の吃音は70パーゼントから80パーセントが自然回復するといわれています。吃音症状が出始めてから、約1年半以内に回復するようです。
この期間以降に吃音が続いている場合、薬物治療やDAF(遅延聴覚フィードバック)によって治療を行ないます。
薬物治療にはドーパミン阻害薬が処方されます。これは、吃音の原因がドーパミンの過剰分泌によるものだとする説があるためです。
DAFは、自分の話した声を0.2秒遅れで聞きながら喋る方法です。吃音者は合唱や朗読のように、他人と声を合わせて喋る際にはどもりが出ません。DAFは、この効果を活用して吃音を軽減させる方法です。
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